富士通は、企業が自社の専有環境内で生成AIのモデル開発・運用・追加学習を自律的に回せるAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」を日本と欧州で順次提供開始し、2026年2月より先行トライアルの受付を始めた。正式提供は2026年7月を予定している。
同プラットフォームは、富士通グループのエフサステクノロジーズが手がけるオンプレミス向け生成AIソリューション「Private AI Platform on PRIMERGY」および「Private GPT」上で稼働する。顧客データを外部に持ち出さないクローズド環境を前提とし、設置場所は顧客自身のデータセンターまたは富士通のデータセンターから選択できる。機能面では、富士通がCohere Inc.と共同開発した大規模言語モデル「Takane」を中核に据え、業務特化型モデルへの内製ファインチューニングや、メモリ消費量を最大94%削減するとされる量子化技術を搭載する。セキュリティ面では、富士通独自定義を含む7,700種超の脆弱性に対応したスキャナーとガードレール技術を組み合わせ、プロンプトインジェクションなどの攻撃を検知・抑止する仕組みを持つ。AIエージェント構築ではローコード・ノーコード開発機能を備え、MCP対応により既存システムとの連携や複数エージェントの協調動作も可能にしている。
背景には、企業が生成AI活用を進める中でデータ機密性の確保や運用の自律コントロールといった「ソブリン要件」への対応ニーズが高まっている事情がある。専門的なAIエンジニアを多数抱えなくても安全かつ迅速に導入・運用できる環境をワンパッケージで提供することで、こうした課題をまとめて解消することを狙う。
富士通は今後、同プラットフォームを大規模AIから現場・拠点単位の小規模AI、さらにはセンサーやデバイスと連動するフィジカルAI領域まで展開を広げる方針を示している。ハルシネーション抑制技術の強化や独自技術のエージェント化なども順次検討・追加される見込みで、生成AI活用基盤としての機能拡充が続く。