空運
2社だけの寡占 —— 一度は破綻し、コロナで再び沈み、インバウンドで蘇った
日本の航空は JAL と ANA の実質2社寡占。JAL は 2010 年に経営破綻して再上場した歴史を持ち、 両社ともコロナで壊滅的な打撃を受けた後、インバウンド回復で息を吹き返した。 燃料費と為替に業績が大きく左右され、固定費が重いため需要変動の影響を受けやすい装置産業でもある。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
日本航空株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| フルサービス航空(FSC)主戦場 | 1.54兆円 | 519億円 | 86.0% |
| マイル・金融・コマース | 1482億円 | 741億円 | 8.3% |
| LCC(格安航空) | 1013億円 | 136億円 | 5.7% |
フルサービス航空(FSC)が主力。LCC(ジップエア・スプリング)とマイル・金融・コマースも育てている。
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 1987-11
「日本航空株式会社法を廃止する等の法律」が施行され、日本航空が完全民営化された。
出典: 運輸省『運輸白書』昭和62年度版 - 2010-01
日本航空が企業再生支援機構へ支援を申し込むとともに、裁判所に会社更生法に基づく更生手続開始を申立て。同日、機構が支援を決定し、裁判所が更生手続開始を決定した。
出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11) - 2010-02
日本航空株が東京・大阪・名古屋の各証券取引所で上場廃止となった(最終売買日は 2 月 19 日)。
出典: 更生会社 日本航空「上場廃止後の当社株式の取扱いについて」(2010-02-17) - 2010-11
東京地裁が更生計画を認可。既存株式は 100% 減資(資本金 2,510 億円)、企業再生支援機構が 3,500 億円を出資、金融機関は 5,215 億円(放棄割合 87.5%)の債権を放棄した。2011 年 3 月に更生手続が終結。
出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11) - 2012-03
Peach が「日本初の LCC」として関西国際空港より就航した(ANA 系)。日本にも格安航空の時代が来た。
出典: ANA ホールディングス プレスリリース(2018-03-22) - 2012-09
日本航空が東京証券取引所第一部へ再上場(売出価格 1 株 3,790 円)。企業再生支援機構は保有全株式を売却して支援を完了した(売却総額 6,633 億円)。破綻から 2 年 8 か月での復帰。
出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11) - 2013-04
全日本空輸が持株会社制へ移行し、商号を「ANA ホールディングス」へ変更した。
出典: ANA グループ 公式「会社沿革」 - 2017
ANA ホールディングスが Peach Aviation を連結子会社化した(304 億円で株式を取得)。大手が LCC を取り込む形に。
出典: ANA HD 他 共同リリース(2017-02-24) - 2020-10
JAL 系の ZIPAIR Tokyo が初の旅客便を東京(成田)=ソウル(仁川)線で運航開始。コロナ禍のさなかに中長距離 LCC が飛び立った。
出典: ZIPAIR Tokyo プレスリリース(2020-10-16) - 2021-03期
コロナ禍で両社が大幅赤字。JAL は売上収益 4,812 億円(−65.3%)・純損失 2,866 億円、ANA HD は売上高 7,286 億円・純損失 4,046 億円。ANA の国際線旅客数は年度累計で −95% となった。
出典: JAL/ANA HD 各 2021年3月期 決算説明会資料 - 2024-03期
インバウンド回復で急反発。JAL は純利益 955 億円(+98.8%)で「好調なインバウンドを積極的に取り込み」と説明。ANA HD は営業利益 2,079 億円となり「過去最高益を大幅に更新」と自ら表明した。
出典: JAL/ANA HD 各 2024年3月期 決算説明会資料 - 2024-12
ANA ホールディングスが Peach Aviation の全株式を取得し、完全子会社化した。
出典: ANA HD プレスリリース(2024-12-20) - 2025-03期
JAL は増収増益(純利益 1,070 億円・+12.0%)。ANA HD は売上高 22,618 億円が「過去最高を更新」した一方、営業利益 1,966 億円(−5.4%)・純利益 1,530 億円(−2.6%)と減益で、2 社の明暗が分かれた。
出典: JAL/ANA HD 各 2025年3月期 決算説明会資料
よくある質問
空運業界の主な上場企業はどこですか?
空運業界の主な上場企業には、ANAホールディングス株式会社、日本航空株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。