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空運

2社だけの寡占 —— 一度は破綻し、コロナで再び沈み、インバウンドで蘇った

日本の航空は JAL と ANA の実質2社寡占。JAL は 2010 年に経営破綻して再上場した歴史を持ち、 両社ともコロナで壊滅的な打撃を受けた後、インバウンド回復で息を吹き返した。 燃料費と為替に業績が大きく左右され、固定費が重いため需要変動の影響を受けやすい装置産業でもある。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

ANAホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

国内最大手。全日空に加え LCC(ピーチ)も傘下。貨物事業も持つ。

日本航空株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高セグメント間取引構成比
フルサービス航空(FSC)主戦場1.54兆円519億円86.0%
マイル・金融・コマース1482億円741億円8.3%
LCC(格安航空)1013億円136億円5.7%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

フルサービス航空(FSC)が主力。LCC(ジップエア・スプリング)とマイル・金融・コマースも育てている。

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1987-11

    「日本航空株式会社法を廃止する等の法律」が施行され、日本航空が完全民営化された。

    出典: 運輸省『運輸白書』昭和62年度版
  2. 2010-01

    日本航空が企業再生支援機構へ支援を申し込むとともに、裁判所に会社更生法に基づく更生手続開始を申立て。同日、機構が支援を決定し、裁判所が更生手続開始を決定した。

    出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11)
  3. 2010-02

    日本航空株が東京・大阪・名古屋の各証券取引所で上場廃止となった(最終売買日は 2 月 19 日)。

    出典: 更生会社 日本航空「上場廃止後の当社株式の取扱いについて」(2010-02-17)
  4. 2010-11

    東京地裁が更生計画を認可。既存株式は 100% 減資(資本金 2,510 億円)、企業再生支援機構が 3,500 億円を出資、金融機関は 5,215 億円(放棄割合 87.5%)の債権を放棄した。2011 年 3 月に更生手続が終結。

    出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11)
  5. 2012-03

    Peach が「日本初の LCC」として関西国際空港より就航した(ANA 系)。日本にも格安航空の時代が来た。

    出典: ANA ホールディングス プレスリリース(2018-03-22)
  6. 2012-09

    日本航空が東京証券取引所第一部へ再上場(売出価格 1 株 3,790 円)。企業再生支援機構は保有全株式を売却して支援を完了した(売却総額 6,633 億円)。破綻から 2 年 8 か月での復帰。

    出典: 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(2012-11)
  7. 2013-04

    全日本空輸が持株会社制へ移行し、商号を「ANA ホールディングス」へ変更した。

    出典: ANA グループ 公式「会社沿革」
  8. 2017

    ANA ホールディングスが Peach Aviation を連結子会社化した(304 億円で株式を取得)。大手が LCC を取り込む形に。

    出典: ANA HD 他 共同リリース(2017-02-24)
  9. 2020-10

    JAL 系の ZIPAIR Tokyo が初の旅客便を東京(成田)=ソウル(仁川)線で運航開始。コロナ禍のさなかに中長距離 LCC が飛び立った。

    出典: ZIPAIR Tokyo プレスリリース(2020-10-16)
  10. 2021-03期

    コロナ禍で両社が大幅赤字。JAL は売上収益 4,812 億円(−65.3%)・純損失 2,866 億円、ANA HD は売上高 7,286 億円・純損失 4,046 億円。ANA の国際線旅客数は年度累計で −95% となった。

    出典: JAL/ANA HD 各 2021年3月期 決算説明会資料
  11. 2024-03期

    インバウンド回復で急反発。JAL は純利益 955 億円(+98.8%)で「好調なインバウンドを積極的に取り込み」と説明。ANA HD は営業利益 2,079 億円となり「過去最高益を大幅に更新」と自ら表明した。

    出典: JAL/ANA HD 各 2024年3月期 決算説明会資料
  12. 2024-12

    ANA ホールディングスが Peach Aviation の全株式を取得し、完全子会社化した。

    出典: ANA HD プレスリリース(2024-12-20)
  13. 2025-03期

    JAL は増収増益(純利益 1,070 億円・+12.0%)。ANA HD は売上高 22,618 億円が「過去最高を更新」した一方、営業利益 1,966 億円(−5.4%)・純利益 1,530 億円(−2.6%)と減益で、2 社の明暗が分かれた。

    出典: JAL/ANA HD 各 2025年3月期 決算説明会資料

よくある質問

空運業界の主な上場企業はどこですか?

空運業界の主な上場企業には、ANAホールディングス株式会社、日本航空株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。