アパレル
ファストリ3.4兆円・しまむら7,000億円が突出 —— ワールド・オンワード・TSIは1,600〜2,800億円台
アパレルは、自社で企画から販売まで担うユニクロ型(SPA)、百貨店・専門店向けにブランドを展開する型、 量販店型など、稼ぎ方が分かれる。東証の33業種でも、ファーストリテイリング・しまむらは小売業、 ワールド・オンワード・TSI・ワコールは繊維製品に分類されている。 決算期も2月・3月・5月・8月とバラバラで、同じ時点の比較にならない点に注意。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
株式会社ファーストリテイリング主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ユニクロ(海外)主戦場 | 1.91兆円 | 3093億円 | 1200億円 | 992億円 | 56.2% |
| ユニクロ(国内)主戦場 | 1.03兆円 | 1845億円 | 151億円 | 519億円 | 30.2% |
| ジーユー主戦場 | 3307億円 | 305億円 | 77億円 | 200億円 | 9.7% |
| グローバルブランド | 1315億円 | -10億円 | 14億円 | 90億円 | 3.9% |
ユニクロ海外(1兆9,103億円)・国内(1兆261億円)・GU(3,307億円)。8月決算。
株式会社アンドエスティHD主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| アパレル・雑貨関連主戦場 | 2897億円 | 1370億円 | 95億円 | 120億円 | 100.0% |
アパレル・雑貨関連が2,897億円(売上3,044億円のうち)。2月決算。
株式会社ワールド主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ブランド事業主戦場 | 1939億円 | 89億円 | 49億円 | 121億円 | 62億円 | 68.3% |
| プラットフォーム事業 | 780億円 | 42億円 | — | 11億円 | 524億円 | 27.5% |
| デジタル事業 | 119億円 | 23億円 | 32億円 | 41億円 | 195億円 | 4.2% |
| Mutual Department | 2億円 | 11億円 | — | 15億円 | 74億円 | 0.1% |
ブランド事業(1,939億円)が主力。プラットフォーム事業(780億円)も持つ。2月決算。
株式会社オンワードホールディングス主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国内事業主戦場 | 2179億円 | 127億円 | 1511億円 | 53億円 | 38億円 | 92.0% |
| 海外事業 | 189億円 | -3億円 | 167億円 | 5億円 | 4億円 | 8.0% |
国内事業が2,179億円、海外事業が189億円。2月決算。
青山商事株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ビジネスウェア事業主戦場 | 1242億円 | 52億円 | 1531億円 | 42億円 | 28億円 | 66.1% |
| Franchisee Business | 175億円 | 13億円 | 127億円 | 8億円 | 5億円 | 9.3% |
| Sundry Sales Business | 153億円 | 2億円 | 81億円 | 1億円 | 1億円 | 8.1% |
| Total Repair Service Business | 145億円 | 4億円 | 202億円 | 43億円 | 33億円 | 7.7% |
| Printing And Media Business | 82億円 | 5000万円 | 75億円 | 3億円 | 2億円 | 4.4% |
| Credit Card Business | 55億円 | 24億円 | 636億円 | 1900万円 | 8700万円 | 2.9% |
| Real Estate Business | 27億円 | 11億円 | 86億円 | 3400万円 | 7600万円 | 1.5% |
ビジネスウェア事業が1,242億円(売上1,890億円のうち)。
株式会社ハニーズホールディングス主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Myanmar | 18億円 | -5406万円 | 33億円 | 5億円 | 1億円 | 100.0% |
売上562億円(2026年5月期)。5月決算。
グンゼ株式会社非主戦場
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Medical Reportable Segments Member | 132億円 | 15億円 | 141億円 | 25億円 | 7億円 | 100.0% |
医療関連(132億円)も開示。売上1,309億円(2026年3月期)。
世界の状況
日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。
① 世界のスポーツ・ラグジュアリー・ファッション大手と日本の大手 ― 売上(原文値)
各社の最新通期決算の売上を、各社が開示した通貨・決算期のまま並べました。決算期も会計基準もそろっていないため、並び順は順位ではありません。
| # | プレイヤー | 売上(原文値) | 決算期 |
|---|---|---|---|
| 1 | Nike, Inc.(米) | 46,398百万ドル | 2026年5月期(FY2026)。前期は46,309百万ドル |
| 2 | adidas AG(独) | 24,811百万ユーロ | 2025年12月期。前期は23,683百万ユーロ(+4.8%) |
| 3 | LVMH ファッション・レザーグッズ部門(仏) | 37,770百万ユーロ | 2025年12月期(部門売上)。前期は41,060百万ユーロ(報告ベース-8%、オーガニック-5%) |
| 4 | PVH Corp.(米) | 8,950百万ドル | 2026年2月1日終了の会計年度(FY2025)。前期は8,653百万ドル |
| 5 | ゴールドウイン(8111)日本 | 137,516百万円 | 2026年3月期(売上高)。前期は132,305百万円 |
| 6 | ワールド(3612)日本 | 284,014百万円 | 2026年2月期(IFRS・売上収益)。前期は225,658百万円 |
| 7 | オンワードホールディングス(8016)日本 | 236,804百万円 | 2026年2月期(売上高)。前期は208,393百万円(+13.6%) |
② 日本の衣料品 ― 国内で売られる服の量と、輸入が占める割合
国内の衣料品供給は1990年から2022年に1.8倍以上に増えましたが、数量ベースの輸入浸透率は98.5%で、売られる服のほぼ全てが輸入です(経済産業省資料)。
| # | プレイヤー | 数値(原文値) | 年次・定義 |
|---|---|---|---|
| 1 | 衣料品の輸入浸透率(数量=点数ベース) | 98.5% | 2022年。出典は日本繊維輸入組合「日本のアパレル市場と輸入品概況」(経産省資料に転載) |
| 2 | 衣料品の輸入浸透率(金額ベース) | 78.7% | 2019年(同資料のグラフ記載の最終年) |
| 3 | アパレルの国内供給点数 | 37.3億点 | 2022年。1990年は約20億点、2022年は1.8倍以上(経産省の記述) |
| 4 | 衣料品等の国内市場規模(織物・衣服・身の回り品小売業) | 8.7兆円 | 2022年。1980年以降のグラフの最大値は15.3兆円(年次は原文で未特定)。出典は経産省「商業動態統計調査」 |
| 5 | 衣類の輸入額(財務省貿易統計・円) | 3,553,848百万円 | 2024年。前年比103.3% |
| 6 | 衣類の輸入額(財務省貿易統計・円) | 3,729,783百万円 | 2025年。前年比104.7% |
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 1992
オンワード樫山が婦人服ブランド「組曲」をデビューさせた。同社は、バブル後の1990年代に百貨店が婦人服売場を拡大し、日本メーカーの新ブランドを率先して展開したと記している。
出典: オンワードHD ANNUAL REPORT 2022 p.10(Our History) - 2004-12
17のインターネット上のセレクトショップを集めたファッションサイト「ZOZOTOWN」の運営が始まった。
出典: ZOZO 会社沿革 - 2007-10
ユニクロが初めてのヒートテックキャンペーンを実施し、ファーストリテイリングの沿革は「成功」と記している。
出典: ファーストリテイリング 沿革(2007年) - 2009-12
オンワードが直営EC「オンワード・クローゼット」を開設し、EC事業に本格参入した。同社はリーマンショック以降、ファストファッションの台頭、百貨店の再編成、EC拡大でアパレル業界が大きな変革期を迎えたと記している。
出典: オンワードHD ANNUAL REPORT 2022 p.10 - 2015-06
三陽商会のバーバリー・ブルーレーベルとブラックレーベルのライセンス契約が終了した(ブルーレーベルは1996年、ブラックレーベルは1998年に立ち上げ)。2015年秋冬から、バーバリーグループとの新たなライセンス契約による後継「クレストブリッジ」2ブランドを開始した。
出典: 三陽商会 ブランドプレスリリース(2015年2月付) - 2018-09
ワークマンが新業態「WORKMAN Plus」の1号店「ららぽーと立川立飛店」を9月5日に開店した。同社資料では、来店客の女性比率が45%で、既存店の20%を上回っている。
出典: ワークマン 2019年3月期第2四半期決算説明会資料(2018年11月9日)p.6・p.18 - 2018-09
ワールドは2005年にMBOによる株式公開買付けを行って上場を廃止した。その後、2018年9月28日に東京証券取引所市場第一部へ再上場した。
出典: ワールド 沿革(公式サイトは現在メンテナンス停止中のためWayback Machineの保存版) - 2019-10
オンワードがグローバル事業構造改革を開始した。同社は、不採算のイタリア事業などからの撤退、不採算ブランドの廃止、国内外の不採算店舗の撤退を遂行したと記している。
出典: オンワードHD ANNUAL REPORT 2022 p.10 - 2022
経産省資料は、2020年以降のコロナ禍の外出自粛で衣料品等の国内市場規模が減少し、2022年でもコロナ前の水準まで回復していないと記している。2022年の市場規模は8.7兆円、国内供給点数は37.3億点、輸入浸透率(数量ベース)は98.5%。
出典: 経済産業省「繊維産業の現状と政策について」2024年9月 p.4・p.5 - 2025-10
EUの改正廃棄物枠組み指令(Directive (EU) 2025/1892)が10月16日に発効した。繊維・履物の拡大生産者責任(EPR)制度を全加盟国に義務づける内容。
出典: 欧州委員会 環境総局ニュース(2025年10月16日) - 2026-03
環境省が「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を公表した。2024年6月策定の「繊維製品における資源循環ロードマップ」と、2024年8月閣議決定の第5次循環型社会形成推進基本計画は、2030年度に家庭から廃棄される衣料品を2020年度比で25%削減する目標を掲げており、プランは同目標の達成に向けた取組をまとめたもの。2020年の家庭からの廃棄量の基準値は51.5万トン。
出典: 環境省 アクションプラン 2026年3月 p.2・p.4
よくある質問
アパレル業界の主な上場企業はどこですか?
アパレル業界の主な上場企業には、株式会社ファーストリテイリング、株式会社しまむら、株式会社アンドエスティHD、株式会社ワールド、株式会社オンワードホールディングス、株式会社パルグループホールディングス、青山商事株式会社、株式会社TSIホールディングス、株式会社ユナイテッドアローズ、株式会社ゴールドウイン、株式会社ワークマン、株式会社三陽商会、株式会社ハニーズホールディングスがあります(日本国内の上場企業ベース)。
アパレル業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?
① 世界のスポーツ・ラグジュアリー・ファッション大手と日本の大手 ― 売上(原文値)によると、Nike, Inc.(米)(46,398百万ドル)、adidas AG(独)(24,811百万ユーロ)、LVMH ファッション・レザーグッズ部門(仏)(37,770百万ユーロ)、PVH Corp.(米)(8,950百万ドル)、ゴールドウイン(8111)(137,516百万円)が挙げられます。