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自動車

日本が世界の頂点を張る数少ない産業 —— ただし EV シフトが地殻変動を起こす

自動車は、日本が世界販売でトップ(トヨタが世界首位)を張る数少ない「主戦場で勝っている」産業。 完成車メーカーが8社も上場し、各社の主力は四輪車事業(+自動車ローンの販売金融)。 EV(BEV)へのシフトで中国 BYD・米テスラが台頭し、HV で先行した日本勢の強みと逆風が交錯する。 下表は各社の全社連結で、二輪・金融・航空宇宙など四輪以外も含む。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

トヨタ自動車株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
自動車(車載)主戦場45.20兆円2.78兆円33.18兆円2.28兆円1.42兆円2158億円90.4%
金融(販売金融)4.82兆円8517億円53.74兆円418億円9204億円381億円9.6%
All Other———647億円———
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

新車販売台数で世界首位。主力は四輪(Automotive)で、FinancialServices は自動車ローン等の販売金融。

本田技研工業株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
四輪車主戦場13.86兆円-1.41兆円12.48兆円6278億円6013億円3035億円63.6%
二輪車4.02兆円7319億円2.71兆円1045億円743億円—18.4%
金融サービス3.53兆円2755億円17.28兆円2億円9589億円33億円16.2%
パワープロダクツ・その他3849億円-107億円5936億円190億円161億円354億円1.8%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

四輪(AutomobileBusiness)に加え、二輪(Motorcycle)で世界最大手。金融・パワープロダクツも持つ。

日産自動車株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産減価償却構成比
自動車主戦場10.76兆円-2929億円10.03兆円2480億円89.6%
販売金融1.25兆円2979億円10.73兆円3803億円10.4%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

四輪(Automobile)と販売金融(SalesFinancing)。ルノーとのアライアンスで知られる。

スズキ株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却構成比
四輪車主戦場5.71兆円5476億円5.07兆円3218億円2412億円90.7%
二輪車4545億円448億円4191億円219億円103億円7.2%
マリン1195億円266億円1233億円56億円54億円1.9%
その他事業126億円39億円406億円14億円3億円0.2%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

四輪(AutomobileBusiness)はインド市場で圧倒的シェア。二輪・マリンも手がける。

マツダ株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

四輪専業に近い。当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

株式会社SUBARU主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
自動車主戦場4.64兆円321億円4.98兆円2036億円2635億円24億円97.0%
航空宇宙1417億円35億円4720億円61億円60億円—3.0%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

四輪(Automobiles)が主力。航空宇宙(Aerospace)も独立セグメントとして持つ。

いすゞ自動車株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

トラック・バス等の商用車とディーゼルエンジンが主力。当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

三菱自動車工業株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

四輪。東南アジアに強み。当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

株式会社デンソー非主戦場

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
日本3.09兆円1859億円5.41兆円2288億円2603億円1.32兆円41.6%
North America2.01兆円1323億円1.18兆円609億円529億円128億円27.1%
Asia1.62兆円1788億円1.78兆円517億円755億円3548億円21.9%
Europe6915億円278億円6459億円199億円316億円764億円9.3%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

世界最大級の自動車部品メーカー(Tier1)。完成車は作らず、各メーカーへ部品を供給する。

株式会社アイシン非主戦場

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却セグメント間取引構成比
日本2.52兆円803億円1078億円1601億円6967億円49.6%
North America1.18兆円391億円383億円432億円146億円23.3%
中国5661億円307億円213億円325億円328億円11.1%
ASEANIndia5443億円696億円273億円242億円692億円10.7%
Europe2687億円41億円282億円35億円156億円5.3%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

変速機(AT)等を手がける自動車部品大手(Tier1)。トヨタ系。完成車は作らない。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 世界の新車販売台数 2025(暦年・グループ別)

自動車は日本が世界の頂点を張る産業。トヨタは6年連続で世界販売首位。数値は各社公式の暦年(1〜12月)実績。

#プレイヤー世界販売(2025 暦年)前年比・補足
1トヨタグループ日本
1,132万台
+4.6%/6年連続 世界首位
2フォルクスワーゲングループ
898万台
−0.5%
3BYD(中)
460万台
+7.7%/NEV 専業
4テスラ(米)
164万台
−8.6%/BEV 専業
指標の定義は各社で異なる(トヨタ=販売〔ダイハツ・日野含む〕/VW=引き渡し/BYD=NEV 販売/テスラ=引き渡し)。 現代起亜・GM 等は 2025 暦年の世界販売の公式値を一次確定できなかったため本表では省略した。 出典: 各社公式決算(トヨタ/VW/BYD-HKEX/テスラ-SEC)

② 純電気自動車(BEV)の世界販売 2025 —— 日本の弱点

総販売では世界首位のトヨタも、純電気自動車(BEV)に限ると中国 BYD・米テスラに大きく遅れる。ハイブリッド先行の裏返し。

#プレイヤーBEV 販売(2025 暦年)前年比・補足
1BYD(中)
225.7万台
+27.9%
2テスラ(米)
163.6万台
−8.6%(全車 BEV)
3フォルクスワーゲングループ
98.3万台
約 +32%
4トヨタ(+レクサス)日本
19.9万台
+42%/総販売の約1.9%
純 BEV のみ(PHEV・HEV は除く)。トヨタの BEV は総販売(トヨタ+レクサス 約1,054万台)の約1.9%にとどまる。 出典: 各社公式決算(BYD-HKEX/テスラ-SEC/VW/トヨタ)

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1999-03

    ルノーが日産自動車と資本提携し、日産株の 36.8% を取得。カルロス・ゴーンが送り込まれ再建を主導した。

    出典: 日産自動車 公式プレスキット(1999-03-27)
  2. 2008

    トヨタの暦年世界販売が約 897 万台となり GM(約 836 万台)を上回った。GM の 77 年間の世界首位に事実上の終止符。

    出典: トヨタ CY2008 販売発表(2009-01)
  3. 2010-02

    トヨタが急加速問題等で大規模リコール。豊田章男社長が米下院公聴会で証言し謝罪した。

    出典: 米下院 監視・政府改革委員会 公聴会(2010-02-24)
  4. 2015-09

    スズキがフォルクスワーゲンとの資本提携を解消(ICC 国際仲裁の裁定を経て VW 保有株を買い戻し)。

    出典: スズキ 公式(ICC 仲裁)
  5. 2016-10

    日産自動車が三菱自動車の株式 34% を取得し筆頭株主に。三菱自がルノー・日産アライアンスに加わった。

    出典: 日産自動車 公式(2016-10-20)
  6. 2018-11

    日産のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反(役員報酬の過少記載)容疑で逮捕された。

    出典: SEC 提訴(2019-09-23)/日産開示
  7. 2019-08

    トヨタとスズキが資本提携。トヨタがスズキ株の 4.94%(960 億円)を取得した。

    出典: トヨタ 公式(2019-08-28)
  8. 2023

    中国 BYD が年間 300 万台超(3,024,417 台)を販売し、世界の新エネルギー車(NEV)販売で首位に立った。

    出典: BYD 公式(2024-01)
  9. 2023-12

    ダイハツ工業の認証不正が発覚。第三者委員会が 64 車種・174 件の不正を認定し、全車種の出荷を一時停止した。

    出典: ダイハツ工業 公式(2023-12-20)
  10. 2024-01

    豊田自動織機でエンジンの認証試験不正が発覚(トヨタ委託のディーゼル 3 機種等)。対象エンジンの出荷を停止した。

    出典: トヨタ 公式(2024-01-29)

よくある質問

自動車業界の主な上場企業はどこですか?

自動車業界の主な上場企業には、トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社、日産自動車株式会社、スズキ株式会社、マツダ株式会社、株式会社SUBARU、いすゞ自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。

自動車業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 世界の新車販売台数 2025(暦年・グループ別)によると、トヨタグループ(1,132万台)、フォルクスワーゲングループ(898万台)、BYD(中)(460万台)、テスラ(米)(164万台)が挙げられます。