化粧品・トイレタリー
ロレアルが突出する世界 —— 資生堂はその約7分の1、中国・インバウンドに揺れる
化粧品は仏ロレアルが世界で突出し、その売上は2位グループの約3倍。日本最大の資生堂でもロレアルの約7分の1の規模にとどまる。 日本勢は中国市場とインバウンド(訪日客)の影響を強く受け、コロナでの需要消滅や、処理水放出後の日本製品の買い控えで 業績が大きく振れてきた(資生堂は 2025 年 12 月期に減収・営業損失)。花王はトイレタリー(日用品)が主力で、 化粧品はその一部という違いがある。下表は各社の全社連結(いずれも 12 月決算)。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
株式会社資生堂主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中国・トラベルリテール | 3422億円 | 29億円 | 94億円 | 34億円 | 35.7% |
| 日本 | 2953億円 | 87億円 | 107億円 | 11億円 | 30.8% |
| 欧州・中東・アフリカ | 1411億円 | 56億円 | 77億円 | 53億円 | 14.7% |
| 米州 | 1066億円 | 37億円 | 100億円 | 46億円 | 11.1% |
| アジアパシフィック | 733億円 | 16億円 | 41億円 | 13億円 | 7.6% |
化粧品専業に近い最大手。中国・トラベルリテールが最大セグメントで、中国景気の影響を強く受ける。
株式会社コーセーホールディングス主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 化粧品主戦場 | 2623億円 | 168億円 | 2696億円 | 131億円 | 84億円 | 80.3% |
| コスメタリー | 645億円 | 63億円 | 576億円 | 49億円 | 15億円 | 19.7% |
化粧品専業(雪肌精/DECORTÉ)。中国・インバウンド比率が高い。
花王株式会社非主戦場
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| グローバルコンシューマーケア | 1.28兆円 | 1331億円 | 641億円 | 634億円 | — | 43.2% |
| ハイジーン・リビングケア | 5493億円 | 813億円 | 323億円 | 307億円 | — | 18.5% |
| ヘルス&ビューティケア | 4329億円 | 391億円 | 171億円 | 198億円 | — | 14.6% |
| ケミカル | 4057億円 | 302億円 | 305億円 | 205億円 | 458億円 | 13.7% |
| 化粧品主戦場 | 2616億円 | 104億円 | 134億円 | 115億円 | — | 8.8% |
| Business Connected Business | 392億円 | 23億円 | 13億円 | 14億円 | — | 1.3% |
主力はトイレタリー(衣料用洗剤・紙おむつ等)とケミカルで、化粧品は事業の一部。
世界の状況
日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。
① 世界の化粧品・パーソナルケア 売上比較
仏ロレアルが突出し、2位グループの約3倍。資生堂はロレアルの約7分の1で、日本勢との差は大きい。 棒はユーロ換算での規模の目安。
| # | プレイヤー | 売上(原文値) | 定義・期間 |
|---|---|---|---|
| 1 | L'Oréal(仏) | €44,052M | 2025年12月期・全社=美容専業 |
| 2 | P&G(米・Beauty 部門) | $14,964M | 2025年6月期・Beauty のみ(全社は $84,284M) |
| 3 | Estée Lauder(米) | $14,326M | 2025年6月期・全社=美容専業 |
| 4 | Unilever(英・Beauty & Wellbeing) | €12,848M | 2025年12月期・部門のみ(全社は €50,503M) |
| 5 | 花王日本 | ¥1兆6,886億 | 2025年12月期・全社(化粧品事業は 2,616億円) |
| 6 | 資生堂日本 | ¥9,700億 | 2025年12月期・全社=美容専業(−2.1%) |
| 7 | コーセーホールディングス日本 | ¥3,302億 | 2025年12月期・全社=美容専業(+2.3%) |
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 2006
花王がカネボウ化粧品をグループに迎えた(花王はカネボウ化粧品の企業価値を 4,100 億円と評価)。
出典: 花王 公式「会社の歴史」/IR 説明資料(2006-07-26) - 2010-01
資生堂が米ベアエッセンシャル(bareMinerals)を総額約 17 億ドル(1株 18.2 ドル)で買収することに合意した。
出典: 資生堂 適時開示(2010-01-15) - 2013-07
カネボウ化粧品が、美白成分「ロドデノール」配合製品で白斑様症状が確認されたとして自主回収を公表した(症状確認は 19,609 人・2023 年末時点)。
出典: カネボウ化粧品 公式「2013年7月 美白商品自主回収について」 - 2014-03
コーセーが米 Tarte, Inc. を子会社化し、北米ブランドを獲得して海外事業に本格着手した。
出典: コーセー ニュースリリース(2014-03-17) - 2018
インバウンド需要のピーク。資生堂の売上高は 1兆948億円(+8.9%)・営業利益 1,084 億円(+34.7%)で、インバウンド売上は +20% 超となった。
出典: 資生堂 2018年実績 決算説明資料(2019-02-08) - 2020
コロナ禍でインバウンド需要が消滅。資生堂は売上 9,209 億円(−18.6%)・営業利益 150 億円(−86.9%)と当期純損失に転落。花王も化粧品市場が前年比 −22% と報告した。
出典: 資生堂 2020年12月期 決算短信(2021-02-09) - 2021
資生堂が事業を再構築。パーソナルケア事業(TSUBAKI/SENKA 等)を売却し、プレステージメイクアップ 3 ブランド(bareMinerals・BUXOM・Laura Mercier)も 7 億ドルで譲渡した。
出典: 資生堂 有価証券報告書(2021年12月期)/適時開示(2021-08-26) - 2023
資生堂の売上高は 9,730 億円(−8.8%)。「処理水放出後の日本製品買い控え影響等により中国・トラベルリテールが低調」と自ら説明した。
出典: 資生堂 2023年実績 決算説明資料(2024-02-09)
よくある質問
化粧品・トイレタリー業界の主な上場企業はどこですか?
化粧品・トイレタリー業界の主な上場企業には、株式会社資生堂、株式会社コーセーホールディングスがあります(日本国内の上場企業ベース)。
化粧品・トイレタリー業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?
① 世界の化粧品・パーソナルケア 売上比較によると、L'Oréal(仏)(€44,052M)、P&G(米・Beauty 部門)($14,964M)、Estée Lauder(米)($14,326M)、Unilever(英・Beauty & Wellbeing)(€12,848M)、花王(¥1兆6,886億)が挙げられます。