電子部品
世界のスマホ・EV に必ず入っている —— 日本が世界的に強い“縁の下”
電子部品は日本が世界的に強い分野。スマートフォンや EV には、村田製作所の MLCC(積層セラミックコンデンサ)をはじめ 日本製の部品が大量に使われる。半導体そのものではないが、半導体とセットで需要が動き、スマホ市況・EV 化・ データセンター投資が業績を左右する。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
TDK株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エナジー応用製品(電池等) | 1.37兆円 | 2467億円 | 2.69兆円 | 1931億円 | 1012億円 | 100万円 | 55.9% |
| 受動部品(コンデンサ等)主戦場 | 5932億円 | 418億円 | 1.01兆円 | 402億円 | 537億円 | 56億円 | 24.2% |
| 磁気応用製品 | 2629億円 | 270億円 | 6136億円 | 333億円 | 194億円 | 3億円 | 10.7% |
| センサ応用製品 | 2246億円 | 207億円 | 4207億円 | 172億円 | 198億円 | 2億円 | 9.2% |
受動部品に加え、スマホ用小型電池(エナジー応用製品)が売上最大。センサ・磁気応用も。
京セラ株式会社非主戦場
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ソリューション | 1.04兆円 | 1039億円 | 1.20兆円 | 240億円 | 544億円 | 265億円 | 50.7% |
| コアコンポーネント | 6526億円 | 631億円 | 7643億円 | 788億円 | 477億円 | 8億円 | 31.7% |
| 電子部品 | 3626億円 | 73億円 | 6998億円 | 269億円 | 335億円 | 8億円 | 17.6% |
電子部品・半導体パッケージを持つが、全社は通信機器・太陽光等を含む総合部品。
世界の状況
日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。
① 大手電子部品メーカー 売上比較(直近通期)
売上の総額では TDK・京セラが村田を上回る。ただし中身が違い、TDK の売上の約 55% はスマホ用電池。 上位3社がすべて日本企業である点がこの分野の特徴。
| # | プレイヤー | 売上(原文値) | 決算期・補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | TDK日本 | ¥2兆5,048億 | 2026年3月期・約55%が電池(エナジー応用) |
| 2 | 京セラ日本 | ¥2兆702億 | 2026年3月期・通信機器等を含む総合部品 |
| 3 | 村田製作所日本 | ¥1兆8,309億 | 2026年3月期・コンデンサ単体で 9,364億円 |
| 4 | Samsung Electro-Mechanics(韓) | KRW 11.31兆 | 2025年12月期(+10%・過去最高) |
| 5 | Yageo(台) | NT$ 1,329億 | 2025年12月期(+9.25%) |
| 6 | 太陽誘電日本 | ¥3,553億 | 2026年3月期(+4.1%) |
② 村田が公表する自社の世界シェア
村田は自社の統合報告書で品目別の世界シェアを公表している。ただしこれは同社の「当社推定値」である点に注意。
| # | プレイヤー | 世界シェア(村田公表) | 補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 高周波インダクタ | 60% | — |
| 2 | MLCC(車載用途) | 50% | 自動車市場での同社シェア |
| 3 | 積層セラミックコンデンサ(MLCC)日本 | 40% | 全体 |
| 4 | EMI 除去フィルタ | 40% | — |
| 5 | 表面波フィルタ | 40% | — |
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 2005-05
TDK が香港の Amperex Technology(ATL・リチウムポリマー電池)を約 1 億ドルで買収。のちに売上の柱となる電池事業への入口となった。
出典: TDK Form 20-F(SEC, FY2005) - 2008-07
TDK が独 EPCOS との経営統合契約に署名(1株 17.85 ユーロ・株式価値 約 12 億ユーロ)。
出典: TDK Form 6-K(SEC, 2008-07-31) - 2016-10
村田製作所がソニーの電池事業を譲り受ける最終契約に署名した。
出典: 村田製作所 ニュースリリース(2016-10-31) - 2017-02
クアルコムと TDK が高周波(RF)フィルタの合弁 RF360 Holdings を発足(クアルコム 51%・EPCOS 49%)。
出典: TDK 公式プレスリリース(2017-02-03) - 2017-09
村田がソニーからの電池事業譲受を完了し、エナジー領域を「コア事業」と位置づけた。
出典: 村田製作所 IR ニュース(2017-09-01) - 2018-04
太陽誘電がエルナー(アルミ電解コンデンサ)を完全子会社化し、車載市場でのポジションを強化した。
出典: 太陽誘電 公式「太陽誘電のあゆみ(沿革)」 - 2019-09
クアルコムが RF360 の残り持分を取得し、TDK は RF フィルタ合弁から退出した。
出典: Qualcomm 公式プレスリリース(2019-09-16) - 2020-03
京セラが米 AVX(電子部品)を完全子会社化(1株 21.75 ドル)。AVX は NYSE 上場廃止となった。
出典: AVX Form 8-K(SEC, 2020-03-30) - 2024-03期
TDK のエナジー応用製品(二次電池・電源)が売上の 53.3%(1兆1,217億円)に達し、受動部品(26.9%)を大きく上回る最大セグメントとなった。
出典: TDK 2024年3月期 決算短信
よくある質問
電子部品業界の主な上場企業はどこですか?
電子部品業界の主な上場企業には、TDK株式会社、株式会社村田製作所、太陽誘電株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。
電子部品業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?
① 大手電子部品メーカー 売上比較(直近通期)によると、TDK(¥2兆5,048億)、京セラ(¥2兆702億)、村田製作所(¥1兆8,309億)、Samsung Electro-Mechanics(韓)(KRW 11.31兆)、Yageo(台)(NT$ 1,329億)が挙げられます。