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保険

国内は成熟、稼ぎは海外へ —— 損保3メガの海外M&A競争

保険は国内市場が人口減で成熟し、大手損保は海外保険会社の買収で成長を買ってきた。 SOMPO は海外保険が国内損保に匹敵する規模に達し、MS&AD も海外が最大セグメント。 生保では第一生命が海外保険を伸ばす。自然災害の多発が収支を圧迫する一方、金利上昇は資産運用の追い風になる。 ※ 保険会社は「売上高」ではなく「経常収益(保険料等収入)」で規模を見る。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

東京海上ホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)設備投資減価償却構成比
Japan PCBusiness1099億円769億円62.1%
International Business491億円821億円27.7%
Japan Life Business179億円102億円10.1%
Solution And Other Business—74億円—
セグメント別の設備投資など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は設備投資に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

損保最大手。海外保険(米デルファイ・HCC 等の買収)で成長し、海外利益比率が高い。

MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高減価償却セグメント間取引構成比
海外子会社・関連会社主戦場2.46兆円181億円53億円40.1%
三井住友海上1.89兆円370億円466億円30.8%
あいおいニッセイ同和損保1.38兆円251億円614億円22.5%
三井住友海上あいおい生命2563億円110億円—4.2%
三井住友海上プライマリー生命1067億円53億円—1.7%
三井ダイレクト損保403億円20億円—0.7%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

三井住友海上とあいおいニッセイ同和の持株会社。海外子会社が最大セグメント。

SOMPOホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
国内損害保険主戦場2.69兆円2681億円6.44兆円339億円568億円451億円48.3%
海外保険主戦場2.43兆円2945億円8.16兆円300億円202億円124億円43.7%
国内生命保険2587億円686億円3.03兆円20億円22億円—4.7%
介護1862億円80億円4312億円301億円261億円1200万円3.3%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

国内損保と海外保険がほぼ同規模。介護事業も持つ点が他社と違う。

株式会社第一ライフグループ非主戦場

セグメント(事業別)売上高資産設備投資減価償却構成比
国内保険主戦場8.16兆円45.56兆円1623億円550億円69.8%
海外保険3.52兆円28.03兆円40億円378億円30.2%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

生保最大手級(第一生命)。国内保険が主力で、海外保険も伸ばす。

株式会社T&Dホールディングス非主戦場

セグメント(事業別)売上高資産設備投資減価償却構成比
T&D ユナイテッドキャピタル3億円104億円—300万円100.0%
Daido Life Insurance——83億円——
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

太陽生命・大同生命を傘下に持つ生保グループ。中小企業向けに強い。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 損保の最大リスクは「天災」—— 風水災の保険金支払い

損保の収支を最も大きく揺らすのは自然災害。2018 年の台風 21 号は、日本の風水災で過去最大の保険金支払いとなった。

#プレイヤー支払保険金順位・規模
1平成30年 台風21号(2018-09)日本
1兆678億円
風水災で過去最大・支払 857,284 件
2令和元年 台風19号(2019-10)
5,826億円
第2位(東日本台風)
3令和元年 台風15号(2019-09)
4,656億円
第4位(房総半島台風)
4平成30年 7月豪雨(2018-07)
1,956億円
第9位(西日本豪雨)
日本損害保険協会が公表する「過去の主な風水災等による保険金の支払い」より抜粋(支払件数・支払保険金は見込みを含む)。 2018 年は台風 21 号(1位)と 7 月豪雨(9位)が重なった年で、損保各社の収支を大きく圧迫した。 こうした国内の災害リスクの集中を避けることも、各社が海外保険会社の買収を進めてきた理由の一つとされる。 出典: 日本損害保険協会『過去の主な風水災等による保険金の支払い』(2026年3月末現在)

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 2001-10

    三井海上と住友海上が合併し「三井住友海上火災保険」が発足した。

    出典: 三井住友海上 公式「沿革・歴史」
  2. 2002

    東京海上と日動火災が共同持株会社「ミレアホールディングス」を設立し上場(2004 年 10 月に東京海上日動火災保険が発足、2008 年 7 月に東京海上ホールディングスへ商号変更)。

    出典: 東京海上 HD 公式「沿革」
  3. 2002-07

    安田火災と日産火災が合併し「損害保険ジャパン」が発足(同年 12 月に大成火災と合併)。

    出典: 損保ジャパン ディスクロージャー誌 2013「歴史・沿革」
  4. 2004-04

    太陽生命・大同生命・T&D フィナンシャル生命を傘下に「T&D ホールディングス」を設立し上場した。

    出典: T&D ホールディングス 公式「沿革」
  5. 2010-04

    損保の再編が完了。損保ジャパンと日本興亜が「NKSJ ホールディングス」を設立し、三井住友海上・あいおい・ニッセイ同和が統合して「MS&AD インシュアランスグループ」が発足した。

    出典: SOMPO HD 公式「沿革」/MS&AD 公式「沿革」
  6. 2010

    第一生命が相互会社から株式会社へ組織変更し、東京証券取引所に上場した。

    出典: 第一ライフグループ 公式「沿革」
  7. 2015-06

    東京海上日動が米スペシャルティ保険の HCC インシュアランス・ホールディングスを総額約 75 億ドル(約 9,400 億円)で買収。海外保険が収益の柱になっていく転機となった。

    出典: 東京海上 HD 買収説明資料(2015-06-10)
  8. 2015

    第一生命が米プロテクティブ・ライフを約 5,822 億円(約 57.08 億ドル)で完全子会社化し、海外生保へ本格進出した。

    出典: 第一生命 ニュースリリース(2014-06-04)
  9. 2016-10

    損保ジャパン日本興亜ホールディングスが「SOMPO ホールディングス」へ商号変更した。

    出典: SOMPO HD 公式「沿革」
  10. 2017-03

    SOMPO が米エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングスの全株式を取得し連結子会社化(取得価額 約 6,394 億円=同社グループで当時最大規模の買収)。

    出典: SOMPO HD ニュースリリース(2016-10-05)
  11. 2018-09

    台風 21 号の保険金支払いが 1 兆 678 億円となり、日本の風水災で過去最大となった。同年は 7 月豪雨(1,956 億円)も重なり、損保各社の収支を直撃した。

    出典: 日本損害保険協会「過去の主な風水災等による保険金の支払い」
  12. 2024-03

    日本銀行がマイナス金利政策を解除。長年の超低金利は保険会社の資産運用を圧迫してきたため、金利上昇は追い風となる。

    出典: 日本銀行 公表文(2024-03-19)
  13. 2026-02

    SOMPO が Sompo International を通じて英 Aspen Insurance Holdings の全株式を取得し連結子会社化した。海外M&Aの流れは続いている。

    出典: SOMPO HD 公式「沿革」

よくある質問

保険業界の主な上場企業はどこですか?

保険業界の主な上場企業には、東京海上ホールディングス株式会社、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社、SOMPOホールディングス株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。

保険業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 損保の最大リスクは「天災」—— 風水災の保険金支払いによると、平成30年 台風21号(2018-09)(1兆678億円)、令和元年 台風19号(2019-10)(5,826億円)、令和元年 台風15号(2019-09)(4,656億円)、平成30年 7月豪雨(2018-07)(1,956億円)が挙げられます。