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石油

縮む国内需要と統合の歴史 —— 精製マージンと原油価格で決まる商売

石油元売は、人口減・燃費改善・EV 化で国内のガソリン需要が構造的に縮小するなか、統合によって生き残ってきた。 業績は「原油価格 × 精製マージン × 在庫評価」でほぼ決まり、原油高では在庫評価益が出る一方、 原油急落では評価損が出るため、実力を見るには在庫影響を除いた利益で見る必要がある。 各社は水素・再エネ・化学品へ転換を模索している。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

ENEOSホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
石油・天然ガス開発2167億円508億円1.29兆円527億円651億円300万円100.0%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

最大手。石油精製・販売に加え、金属(JX 金属)・石油開発も持つ。

出光興産株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

昭和シェル石油と統合した第2位。石炭・再エネにも展開する。

コスモエネルギーホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

第3位。石油精製に加え、風力発電に早くから取り組んでいる。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 世界の石油メジャーと日本の元売

日本最大の ENEOS でも、エクソンモービルとは規模が大きく違う。石油は世界の巨大資本が支配する産業。

#プレイヤー売上(原文値)定義・決算期
1ExxonMobil(米)
$332,238M
暦年2025・Total revenues and other income
2Shell(英)
$266,886M
暦年2025・Revenue
3TotalEnergies(仏)
$201,196M
暦年2025・Sales(契約収益)
4BP(英)
$192,549M
暦年2025・Sales and other operating revenues
5Chevron(米)
$189,031M
暦年2025・Total revenues and other income
6ENEOS ホールディングス日本
¥11兆7,655億
2026年3月期(−4.5%)
7出光興産日本
¥8兆1,059億
2026年3月期(−11.8%)
8コスモエネルギー HD日本
¥2兆6,776億
2026年3月期(−4.4%)
各社公式決算の原文値。**定義が揃っていない** —— エクソンモービル・シェブロンは「Total revenues and other income」 (その他収益を含む)、シェル・BP は Revenue、トタルエナジーズは契約収益(Sales)。 決算期も 3 か月ずれる(メジャー=暦年 2025、日本勢=2026 年 3 月期)。 各社とも公式の統一換算レートを開示していないため、本ページでは USD 統一換算も順位付けも行わない。 出典: 各社公式決算(SEC 提出/決算短信)

② 国内の燃料油需要は縮み続ける

人口減・燃費改善・EV 化で、国内の石油需要は構造的に縮小する見通し。これが元売各社が統合と転換を進める理由。

#プレイヤー燃料油の国内需要(千kL)区分
12023年度(実績)
142,023 千kL
実績
22024年度(実績見込)
136,543 千kL
実績見込
32029年度(見通し)日本
122,202 千kL
見通し
燃料油の国内需要量(電力用 C 重油を除く)。2024 年度は「実績見込」、2029 年度は「見通し」であり実績ではない。 ガソリンは 2024 年度 43,552 千kL から 2029 年度 38,591 千kL へ、年率 −2.4% で減る見通し。 ※ 需要のピーク年の実数は一次資料で確認できなかったため、本ページでは「ピーク比で何割減」といった表現は用いない。 なお ENEOS は自社の沿革に「2000 年 国内石油製品需要が減少に転じる」と記している。 出典: 経済産業省 石油製品需要想定検討会『2025〜2029年度 石油製品需要見通し(燃料油編)』・2025-04-25 発表)

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 2000

    国内の石油製品需要が減少に転じた(ENEOS の公式沿革の記述)。以後、業界は縮む市場のなかで統合を重ねることになる。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  2. 2010

    新日本石油と新日鉱グループの経営統合により「JX グループ」が発足した。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  3. 2014

    ENEOS が国内初の水素ステーションを開所。石油以外への転換の起点となった。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  4. 2015-10

    コスモエネルギーホールディングスが発足し、持株会社体制へ移行した。

    出典: コスモエネルギー HD 公式「沿革」
  5. 2017-04

    JX グループと東燃ゼネラルグループが経営統合し「JXTG グループ」が誕生(統合契約の締結は 2016 年 8 月)。国内元売の集約が進んだ。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  6. 2019

    出光興産と昭和シェル石油が経営統合し、出光興産として新たにスタートした。国内元売は実質3グループへ集約された。

    出典: 出光興産 公式「沿革」
  7. 2019-11

    JXTG ホールディングスが、社名を「ENEOS ホールディングス」、JXTG エネルギーを「ENEOS 株式会社」へ変更することを決定した(2020 年 6 月の定時株主総会日付で実施)。

    出典: ENEOS 公式リリース(2019-11-28)
  8. 2020

    ENEOS が 2040 年カーボンニュートラルを表明。石油会社が「石油を減らす」目標を掲げる時代に入った。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  9. 2021

    ENEOS がジャパン・リニューアブル・エナジー(現・ENEOS リニューアブル・エナジー)の全株式取得を決定し、再生可能エネルギーへ本格参入した。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  10. 2024

    ENEOS が機能材事業・電気事業・再生可能エネルギー事業の分社化を実行。ポートフォリオの組み替えを進める。

    出典: ENEOS ホールディングス 公式「沿革」
  11. 2025-01

    コスモエネルギーが SAF(持続可能な航空燃料)の製造設備を完工。既存の製油所を脱炭素燃料へ振り向ける動きが具体化した。

    出典: コスモエネルギー HD 公式「沿革」

よくある質問

石油業界の主な上場企業はどこですか?

石油業界の主な上場企業には、ENEOSホールディングス株式会社、出光興産株式会社、コスモエネルギーホールディングス株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。

石油業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 世界の石油メジャーと日本の元売によると、ExxonMobil(米)($332,238M)、Shell(英)($266,886M)、TotalEnergies(仏)($201,196M)、BP(英)($192,549M)、Chevron(米)($189,031M)が挙げられます。