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不動産

都心再開発と賃料上昇 —— 含み益が巨大な「持たざる者にはできない」商売

不動産大手は都心のオフィス・商業施設を保有し、開発と賃貸で稼ぐ。保有物件の含み益が巨大で、 簿価と実際の価値が大きく乖離しているのが特徴。近年は都心再開発(麻布台ヒルズ・八重洲等)と オフィス賃料の上昇、インバウンドによるホテル好調が追い風。一方で金利上昇は借入コストの逆風になる。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

三井不動産株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

最大手。日本橋の再開発、ららぽーと等の商業施設、海外開発まで手広い。

三菱地所株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

丸の内に大量のオフィスを保有する「丸の内の大家」。含み益が特に大きい。

住友不動産株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却構成比
住宅主戦場1887億円134億円677億円7億円6億円71.7%
ステップ(教育)746億円236億円2040億円14億円9億円28.3%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

都心オフィス賃貸とマンション分譲。自社施工に近い体制でコスト競争力を持つ。

東急不動産ホールディングス株式会社非主戦場

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

東急グループのデベロッパー。渋谷再開発、リゾート(ハーヴェストクラブ)等。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 東京圏・商業地の地価はこう動いた(地価公示・対前年変動率)

不動産業の浮き沈みは地価そのもの。バブルで年 +61%、崩壊後は 14 年連続の下落、そして現在は再び上昇局面にある。

#プレイヤー対前年変動率局面
11987 年
+48.2%
バブル期の急騰
21988 年
+61.1%
ピーク(住宅地は +68.6%)
31992 年
−6.9%
下落に転換
41993 年
−19.0%
崩壊の底なし局面
52006 年
+1.0%
14 年ぶりに上昇へ反転
62008 年
+12.2%
都市再生・REIT ブーム
72009 年
−6.1%
リーマン後に再下落
82026 年
+9.3%
5 年連続上昇(現在)
東京圏・商業地の対前年変動率(地価公示)。東京圏の商業地は 1992 年から 2005 年まで 14 年連続で下落した。 直近の令和8年(2026 年)地価公示は「全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも 5 年連続で上昇」とし、 商業地について「オフィスの空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上」「インバウンドが増加した観光地等では 旺盛な店舗・ホテル需要を背景に高い地価上昇が継続」と説明している(全国商業地は +4.3%)。 ※ 棒グラフは下落(マイナス)を表現できないため、この表では数値のみを示す。 出典: 国土交通省『地価公示(変動率及び平均価格の時系列推移表)』

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1988

    バブル期の地価急騰がピークに。東京圏の商業地は前年比 +61.1%、住宅地は +68.6% を記録した。

    出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表)
  2. 1990

    三菱地所が米ロックフェラーグループ社に資本参加した(日本企業による米国資産取得の象徴とされた)。

    出典: 三菱地所 公式「沿革」
  3. 1992

    東京圏の商業地の地価が前年比 −6.9% と下落に転じ、バブル崩壊が始まった。翌 1993 年は −19.0%。以後 2005 年まで 14 年連続で下落した。

    出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表)
  4. 2001-09

    東証に不動産投資信託(J-REIT)市場が開設され、日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトが初上場。不動産が「証券化して売る」対象になった。

    出典: JPX「REIT 上場の手引き」/JPX 銘柄一覧
  5. 2002

    三菱地所が「丸ビル」をオープンし、丸の内の再構築が本格化した(2007 年に新丸ビル、2009 年に三菱一号館)。

    出典: 三菱地所 公式「沿革」
  6. 2006

    東京圏の商業地の地価が +1.0% と、1992 年以来はじめて上昇に転じた。都市再生と J-REIT が牽引した局面。

    出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表)
  7. 2007

    三井不動産が「東京ミッドタウン」を開業。都心の大規模複合開発が相次いだ。

    出典: 三井不動産 公式「沿革」
  8. 2009

    リーマン・ショック後、東京圏の商業地は −6.1% と再び下落に転じた。

    出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表)
  9. 2013

    東急不動産・東急コミュニティー・東急リバブルの3社が共同株式移転により東急不動産ホールディングスを設立し上場した。

    出典: 東急不動産 HD 公式「沿革」
  10. 2023

    三井不動産が「東京ミッドタウン八重洲」を開業。都心再開発の第二波が続く(2021 年に三菱地所の常盤橋タワー、2024 年に東急の Shibuya Sakura Stage)。

    出典: 三井不動産 公式「沿革」
  11. 2024-03

    日本銀行がマイナス金利政策を解除。借入で物件を持つ不動産業には、金利上昇という新たな逆風が生じた。

    出典: 日本銀行 公表文(2024-03-19)
  12. 2026-06

    日本銀行が政策金利を 1.0% 程度へ引き上げた(従来 0.75% 程度)。それでも地価は 5 年連続の上昇が続き、三井不動産は 2026 年 3 月期に純利益 2,786 億円(+12.0%)と過去最高を更新した。

    出典: 日本銀行 公表文(2026-06-16)/三井不動産 決算のお知らせ(2026-05-13)

よくある質問

不動産業界の主な上場企業はどこですか?

不動産業界の主な上場企業には、三井不動産株式会社、三菱地所株式会社、住友不動産株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。

不動産業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 東京圏・商業地の地価はこう動いた(地価公示・対前年変動率)によると、1987 年(+48.2%)、1988 年(+61.1%)、1992 年(−6.9%)、1993 年(−19.0%)、2006 年(+1.0%)が挙げられます。