不動産
都心再開発と賃料上昇 —— 含み益が巨大な「持たざる者にはできない」商売
不動産大手は都心のオフィス・商業施設を保有し、開発と賃貸で稼ぐ。保有物件の含み益が巨大で、 簿価と実際の価値が大きく乖離しているのが特徴。近年は都心再開発(麻布台ヒルズ・八重洲等)と オフィス賃料の上昇、インバウンドによるホテル好調が追い風。一方で金利上昇は借入コストの逆風になる。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
住友不動産株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 住宅主戦場 | 1887億円 | 134億円 | 677億円 | 7億円 | 6億円 | 71.7% |
| ステップ(教育) | 746億円 | 236億円 | 2040億円 | 14億円 | 9億円 | 28.3% |
都心オフィス賃貸とマンション分譲。自社施工に近い体制でコスト競争力を持つ。
世界の状況
日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。
① 東京圏・商業地の地価はこう動いた(地価公示・対前年変動率)
不動産業の浮き沈みは地価そのもの。バブルで年 +61%、崩壊後は 14 年連続の下落、そして現在は再び上昇局面にある。
| # | プレイヤー | 対前年変動率 | 局面 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1987 年 | +48.2% | バブル期の急騰 |
| 2 | 1988 年 | +61.1% | ピーク(住宅地は +68.6%) |
| 3 | 1992 年 | −6.9% | 下落に転換 |
| 4 | 1993 年 | −19.0% | 崩壊の底なし局面 |
| 5 | 2006 年 | +1.0% | 14 年ぶりに上昇へ反転 |
| 6 | 2008 年 | +12.2% | 都市再生・REIT ブーム |
| 7 | 2009 年 | −6.1% | リーマン後に再下落 |
| 8 | 2026 年 | +9.3% | 5 年連続上昇(現在) |
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 1988
バブル期の地価急騰がピークに。東京圏の商業地は前年比 +61.1%、住宅地は +68.6% を記録した。
出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表) - 1990
三菱地所が米ロックフェラーグループ社に資本参加した(日本企業による米国資産取得の象徴とされた)。
出典: 三菱地所 公式「沿革」 - 1992
東京圏の商業地の地価が前年比 −6.9% と下落に転じ、バブル崩壊が始まった。翌 1993 年は −19.0%。以後 2005 年まで 14 年連続で下落した。
出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表) - 2001-09
東証に不動産投資信託(J-REIT)市場が開設され、日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトが初上場。不動産が「証券化して売る」対象になった。
出典: JPX「REIT 上場の手引き」/JPX 銘柄一覧 - 2002
三菱地所が「丸ビル」をオープンし、丸の内の再構築が本格化した(2007 年に新丸ビル、2009 年に三菱一号館)。
出典: 三菱地所 公式「沿革」 - 2006
東京圏の商業地の地価が +1.0% と、1992 年以来はじめて上昇に転じた。都市再生と J-REIT が牽引した局面。
出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表) - 2007
三井不動産が「東京ミッドタウン」を開業。都心の大規模複合開発が相次いだ。
出典: 三井不動産 公式「沿革」 - 2009
リーマン・ショック後、東京圏の商業地は −6.1% と再び下落に転じた。
出典: 国土交通省 地価公示(時系列推移表) - 2013
東急不動産・東急コミュニティー・東急リバブルの3社が共同株式移転により東急不動産ホールディングスを設立し上場した。
出典: 東急不動産 HD 公式「沿革」 - 2023
三井不動産が「東京ミッドタウン八重洲」を開業。都心再開発の第二波が続く(2021 年に三菱地所の常盤橋タワー、2024 年に東急の Shibuya Sakura Stage)。
出典: 三井不動産 公式「沿革」 - 2024-03
日本銀行がマイナス金利政策を解除。借入で物件を持つ不動産業には、金利上昇という新たな逆風が生じた。
出典: 日本銀行 公表文(2024-03-19) - 2026-06
日本銀行が政策金利を 1.0% 程度へ引き上げた(従来 0.75% 程度)。それでも地価は 5 年連続の上昇が続き、三井不動産は 2026 年 3 月期に純利益 2,786 億円(+12.0%)と過去最高を更新した。
出典: 日本銀行 公表文(2026-06-16)/三井不動産 決算のお知らせ(2026-05-13)
よくある質問
不動産業界の主な上場企業はどこですか?
不動産業界の主な上場企業には、三井不動産株式会社、三菱地所株式会社、住友不動産株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。
不動産業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?
① 東京圏・商業地の地価はこう動いた(地価公示・対前年変動率)によると、1987 年(+48.2%)、1988 年(+61.1%)、1992 年(−6.9%)、1993 年(−19.0%)、2006 年(+1.0%)が挙げられます。