← テーマ一覧に戻る

小売

勝者は「専門店」と「コンビニ」—— GMS(総合スーパー)が沈んだ 30 年

小売は、かつての主役だった GMS(総合スーパー)が専門店・コンビニ・EC に食われ続けた 30 年。 勝ち残ったのはユニクロ(ファーストリテイリング)やニトリのような「製造小売(SPA)」と、 セブン-イレブンのようなコンビニ。ファーストリテイリングは海外ユニクロが国内を上回り、 日本の小売で唯一グローバルに戦えている存在になった。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

イオン株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却構成比
ヘルス&ウエルネス(GMS)主戦場1.32兆円360億円6092億円196億円232億円50.7%
金融(販売金融)4670億円612億円7.75兆円596億円415億円17.9%
ディスカウントストア4102億円80億円792億円83億円39億円15.7%
ディベロッパー(SC 開発)4093億円530億円1.87兆円—943億円15.7%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

GMS(ヘルス&ウエルネス)が売上最大だが、利益は金融・ディベロッパー(SC 開発)が支える構造。2 月決算。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

セブン-イレブンを核とするコンビニ最大手。北米事業が大きい。2 月決算。

株式会社ファーストリテイリング主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却構成比
ユニクロ(海外)主戦場1.91兆円3093億円1200億円992億円56.2%
ユニクロ(国内)1.03兆円1845億円151億円519億円30.2%
ジーユー3307億円305億円77億円200億円9.7%
グローバルブランド1315億円-10億円14億円90億円3.9%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

ユニクロ海外(1兆9,103億円)が国内(1兆261億円)を上回る。日本の小売で最もグローバル化が進む。8 月決算。

株式会社ニトリホールディングス主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
ニトリ主戦場8035億円1184億円1.33兆円435億円608億円126億円88.1%
島忠1087億円72億円2783億円4億円88億円16億円11.9%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

製造小売(SPA)で家具・インテリア。長期の増収増益で知られる。島忠も傘下。

株式会社ZOZO非主戦場

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

ファッション EC(ZOZOTOWN)。実店舗を持たないプラットフォーム型。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 世界のアパレル(SPA)大手 売上

ユニクロは ZARA・H&M と並ぶ規模まで来た。ただし通貨も決算期も揃っておらず、順位を断定できる比較ではない。

#プレイヤー売上(原文値)決算期
1Inditex(ZARA・スペイン)
€39,864M
2026年1月期(+3.2%)
2ファーストリテイリング(ユニクロ)日本
¥3兆4,005億
2025年8月期(+9.6%)
3H&M(スウェーデン)
SEK 228,285M
2025年11月期
4Gap(米)
$15,366M
2026年1月期
各社公式決算の原文値。**これは順位ではない** —— 報告通貨が EUR/SEK/JPY/USD と4種類に分かれ、 決算期の終期も最大 5 か月ずれる(Inditex=2026年1月末、H&M=2025年11月末、ファーストリテイリング=2025年8月末)。 3 社に共通する公式の換算レートも存在しないため、本ページでは USD 統一換算も順位付けも行わない。 なお SHEIN は非上場のため本比較の対象外。 出典: 各社公式決算(Annual Report/決算資料/SEC 提出)

② 世界の小売大手 売上 —— 桁が違う

アマゾン・ウォルマートは日本の小売大手の 5〜7 倍規模。ただし「何を売上と呼ぶか」が国ごとに違う点に注意。

#プレイヤー売上(原文値)定義・決算期
1Amazon(米)
$716,924M
2025年12月期・AWS($128,725M)を含む総額
2Walmart(米)
$706,413M
2026年1月期・Net sales(Total revenues は $713,163M)
3Costco(米)
$269.9B
2025年8月期(+8.1%)
4イオン日本
¥10兆7,153億
2026年2月期・営業収益(+5.7%)
5セブン&アイ・ホールディングス日本
¥10兆4,303億
2026年2月期・営業収益(−12.9%)
★ 定義が国ごとに違うため、そのまま並べると誤読する —— セブン&アイの「営業収益」にはコンビニ加盟店の店頭売上が含まれず、同社は別途「グループ売上 16兆9,921億円」を開示している (どちらを採るかで日本勢の規模感は大きく変わる)。アマゾンに「小売部門」という開示区分は存在せず、上記は AWS(クラウド)を含む総額。 ウォルマートは Net sales と Total revenues(会員収入等を含む)を区別しており、ここでは Net sales を採用した。 決算期もバラバラ(アマゾン=12月期、ウォルマート=1月期、コストコ=8月期、日本勢=2月期)。 通貨が異なり公式換算レートも無いため、本ページでは順位付けを行わない。 出典: 各社公式決算(SEC 提出/決算リリース/決算短信)

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1998

    ユニクロのフリース 1,900 円が話題を呼び、同年 11 月に首都圏初の都心型店舗「ユニクロ原宿店」を出店。製造小売(SPA)が一気に広まった。

    出典: ファーストリテイリング 公式「沿革」
  2. 2001-09

    ユニクロが海外進出の第一歩として英ロンドンに出店した(2002 年 9 月には中国・上海へ)。

    出典: ファーストリテイリング 公式「沿革」
  3. 2005-09

    持株会社「セブン&アイ・ホールディングス」を設立(同年 11 月に米国 7-Eleven, Inc. を完全子会社化)。

    出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」
  4. 2006-06

    セブン&アイがミレニアムリテイリング(現・そごう・西武)を完全子会社化し、百貨店を傘下に収めた。

    出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」
  5. 2007-03

    イオンがダイエー・丸紅と資本業務提携に合意。GMS 再編が本格化した(2003 年にはマイカルがイオングループ入り)。

    出典: イオン 公式「企業沿革」
  6. 2013-08

    イオンがダイエーを連結子会社化。かつて日本一の小売だった GMS の雄が、イオンの傘下に入った。

    出典: イオン 公式「企業沿革」
  7. 2018-01

    国内のセブン-イレブンの店舗数が 20,000 店を突破。コンビニが小売の主役になった。

    出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」
  8. 2019-08期

    ファーストリテイリングの海外ユニクロ事業の売上収益が 1 兆 260 億円(+14.5%)となり、国内ユニクロ事業の 8,729 億円(+0.9%)を上回った。日本の小売がグローバル企業になった瞬間。

    出典: ファーストリテイリング 2019年8月期 決算サマリー(2019-10-10)
  9. 2019-11

    Z ホールディングス(同年 10 月にヤフーから商号変更)による公開買付けが成立し、ZOZO が同社の子会社となった。EC の主導権がプラットフォーマーへ。

    出典: ZOZO 適時開示(2019-11-14)
  10. 2021-01

    ニトリホールディングスが公開買付けにより島忠を連結子会社化した(買付価格 1 株 5,500 円)。

    出典: ニトリホールディングス IR(2020-12-29)
  11. 2023-09

    セブン&アイがそごう・西武をフォートレス系の会社へ譲渡。同社は「4 期連続の最終赤字」を背景に挙げ、「コンビニエンスストア事業への経営資源の集中的な配分」を掲げた。百貨店・GMS を切り離す決断。

    出典: セブン&アイ・ホールディングス 適時開示(2023-08-31)
  12. 2024-09

    セブン&アイの取締役会が、カナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案(1 株 14.86 米ドル)に対し「当社の本源的価値およびそれら価値を顕在化する機会を『著しく』過小評価している」として拒否を回答した。

    出典: セブン&アイ・ホールディングス 適時開示(2024-09-06)

よくある質問

小売業界の主な上場企業はどこですか?

小売業界の主な上場企業には、イオン株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社ファーストリテイリング、株式会社ニトリホールディングスがあります(日本国内の上場企業ベース)。

小売業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 世界のアパレル(SPA)大手 売上によると、Inditex(ZARA・スペイン)(€39,864M)、ファーストリテイリング(ユニクロ)(¥3兆4,005億)、H&M(スウェーデン)(SEK 228,285M)、Gap(米)($15,366M)が挙げられます。