小売
勝者は「専門店」と「コンビニ」—— GMS(総合スーパー)が沈んだ 30 年
小売は、かつての主役だった GMS(総合スーパー)が専門店・コンビニ・EC に食われ続けた 30 年。 勝ち残ったのはユニクロ(ファーストリテイリング)やニトリのような「製造小売(SPA)」と、 セブン-イレブンのようなコンビニ。ファーストリテイリングは海外ユニクロが国内を上回り、 日本の小売で唯一グローバルに戦えている存在になった。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
イオン株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヘルス&ウエルネス(GMS)主戦場 | 1.32兆円 | 360億円 | 6092億円 | 196億円 | 232億円 | 50.7% |
| 金融(販売金融) | 4670億円 | 612億円 | 7.75兆円 | 596億円 | 415億円 | 17.9% |
| ディスカウントストア | 4102億円 | 80億円 | 792億円 | 83億円 | 39億円 | 15.7% |
| ディベロッパー(SC 開発) | 4093億円 | 530億円 | 1.87兆円 | — | 943億円 | 15.7% |
GMS(ヘルス&ウエルネス)が売上最大だが、利益は金融・ディベロッパー(SC 開発)が支える構造。2 月決算。
株式会社ファーストリテイリング主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 設備投資 | 減価償却 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ユニクロ(海外)主戦場 | 1.91兆円 | 3093億円 | 1200億円 | 992億円 | 56.2% |
| ユニクロ(国内) | 1.03兆円 | 1845億円 | 151億円 | 519億円 | 30.2% |
| ジーユー | 3307億円 | 305億円 | 77億円 | 200億円 | 9.7% |
| グローバルブランド | 1315億円 | -10億円 | 14億円 | 90億円 | 3.9% |
ユニクロ海外(1兆9,103億円)が国内(1兆261億円)を上回る。日本の小売で最もグローバル化が進む。8 月決算。
株式会社ニトリホールディングス主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 営業利益 | 資産 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ニトリ主戦場 | 8035億円 | 1184億円 | 1.33兆円 | 435億円 | 608億円 | 126億円 | 88.1% |
| 島忠 | 1087億円 | 72億円 | 2783億円 | 4億円 | 88億円 | 16億円 | 11.9% |
製造小売(SPA)で家具・インテリア。長期の増収増益で知られる。島忠も傘下。
世界の状況
日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。
① 世界のアパレル(SPA)大手 売上
ユニクロは ZARA・H&M と並ぶ規模まで来た。ただし通貨も決算期も揃っておらず、順位を断定できる比較ではない。
| # | プレイヤー | 売上(原文値) | 決算期 |
|---|---|---|---|
| 1 | Inditex(ZARA・スペイン) | €39,864M | 2026年1月期(+3.2%) |
| 2 | ファーストリテイリング(ユニクロ)日本 | ¥3兆4,005億 | 2025年8月期(+9.6%) |
| 3 | H&M(スウェーデン) | SEK 228,285M | 2025年11月期 |
| 4 | Gap(米) | $15,366M | 2026年1月期 |
② 世界の小売大手 売上 —— 桁が違う
アマゾン・ウォルマートは日本の小売大手の 5〜7 倍規模。ただし「何を売上と呼ぶか」が国ごとに違う点に注意。
| # | プレイヤー | 売上(原文値) | 定義・決算期 |
|---|---|---|---|
| 1 | Amazon(米) | $716,924M | 2025年12月期・AWS($128,725M)を含む総額 |
| 2 | Walmart(米) | $706,413M | 2026年1月期・Net sales(Total revenues は $713,163M) |
| 3 | Costco(米) | $269.9B | 2025年8月期(+8.1%) |
| 4 | イオン日本 | ¥10兆7,153億 | 2026年2月期・営業収益(+5.7%) |
| 5 | セブン&アイ・ホールディングス日本 | ¥10兆4,303億 | 2026年2月期・営業収益(−12.9%) |
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 1998
ユニクロのフリース 1,900 円が話題を呼び、同年 11 月に首都圏初の都心型店舗「ユニクロ原宿店」を出店。製造小売(SPA)が一気に広まった。
出典: ファーストリテイリング 公式「沿革」 - 2001-09
ユニクロが海外進出の第一歩として英ロンドンに出店した(2002 年 9 月には中国・上海へ)。
出典: ファーストリテイリング 公式「沿革」 - 2005-09
持株会社「セブン&アイ・ホールディングス」を設立(同年 11 月に米国 7-Eleven, Inc. を完全子会社化)。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」 - 2006-06
セブン&アイがミレニアムリテイリング(現・そごう・西武)を完全子会社化し、百貨店を傘下に収めた。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」 - 2007-03
イオンがダイエー・丸紅と資本業務提携に合意。GMS 再編が本格化した(2003 年にはマイカルがイオングループ入り)。
出典: イオン 公式「企業沿革」 - 2013-08
イオンがダイエーを連結子会社化。かつて日本一の小売だった GMS の雄が、イオンの傘下に入った。
出典: イオン 公式「企業沿革」 - 2018-01
国内のセブン-イレブンの店舗数が 20,000 店を突破。コンビニが小売の主役になった。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 公式「沿革」 - 2019-08期
ファーストリテイリングの海外ユニクロ事業の売上収益が 1 兆 260 億円(+14.5%)となり、国内ユニクロ事業の 8,729 億円(+0.9%)を上回った。日本の小売がグローバル企業になった瞬間。
出典: ファーストリテイリング 2019年8月期 決算サマリー(2019-10-10) - 2019-11
Z ホールディングス(同年 10 月にヤフーから商号変更)による公開買付けが成立し、ZOZO が同社の子会社となった。EC の主導権がプラットフォーマーへ。
出典: ZOZO 適時開示(2019-11-14) - 2021-01
ニトリホールディングスが公開買付けにより島忠を連結子会社化した(買付価格 1 株 5,500 円)。
出典: ニトリホールディングス IR(2020-12-29) - 2023-09
セブン&アイがそごう・西武をフォートレス系の会社へ譲渡。同社は「4 期連続の最終赤字」を背景に挙げ、「コンビニエンスストア事業への経営資源の集中的な配分」を掲げた。百貨店・GMS を切り離す決断。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 適時開示(2023-08-31) - 2024-09
セブン&アイの取締役会が、カナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案(1 株 14.86 米ドル)に対し「当社の本源的価値およびそれら価値を顕在化する機会を『著しく』過小評価している」として拒否を回答した。
出典: セブン&アイ・ホールディングス 適時開示(2024-09-06)
よくある質問
小売業界の主な上場企業はどこですか?
小売業界の主な上場企業には、イオン株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社ファーストリテイリング、株式会社ニトリホールディングスがあります(日本国内の上場企業ベース)。
小売業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?
① 世界のアパレル(SPA)大手 売上によると、Inditex(ZARA・スペイン)(€39,864M)、ファーストリテイリング(ユニクロ)(¥3兆4,005億)、H&M(スウェーデン)(SEK 228,285M)、Gap(米)($15,366M)が挙げられます。