証券
対面からネットへ、そして手数料ゼロへ —— 稼ぎ方が変わった
証券は、対面営業の大手(野村・大和)と、ネット証券(SBI・松井)に分かれる。 ネット証券は 2023 年以降の日本株売買手数料無料化で「手数料で稼ぐ」モデルを自ら捨て、 信用取引・投信・金融サービス全体で稼ぐ形に変わった。SBI は証券会社というより金融コングロマリット (銀行・保険・暗号資産・PE 投資)になっている。新 NISA による個人の投資拡大が追い風。下表は各社の全社連結。
各社の全社連結(横断比較)
セグメント別(主戦場/非主戦場)
各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。
SBIホールディングス株式会社主戦場側
| セグメント(事業別) | 売上高 | 設備投資 | 減価償却 | セグメント間取引 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金融サービス主戦場 | 1.57兆円 | 847億円 | 565億円 | 127億円 | 82.3% |
| PE 投資 | 1558億円 | — | 27億円 | 25億円 | 8.2% |
| 暗号資産 | 893億円 | — | 15億円 | 3億円 | 4.7% |
| 次世代事業 | 515億円 | — | 28億円 | 47億円 | 2.7% |
| 資産運用 | 404億円 | — | 16億円 | 13億円 | 2.1% |
証券専業ではなく金融コングロマリット。銀行・保険・暗号資産・PE 投資まで持つ。
業界の変遷(年表)
いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。
- 1996-11
橋本総理が大蔵大臣・法務大臣に金融システム改革(日本版ビッグバン)を指示。「フリー(自由)・フェア(透明)・グローバル」の3原則を掲げ、2001 年までに東京市場をニューヨーク・ロンドン並みへ復権させることを目標とした。
出典: 大蔵省「日本版ビッグバンとは」(金融庁サイト内アーカイブ) - 1997-06
大蔵省が「金融システム改革のプラン」を公表し、株式売買委託手数料を「99 年末には完全自由化」する工程を明示した。
出典: 大蔵省「金融システム改革のプラン」(1997-06-13) - 1998-05
松井証券がインターネット取引「ネットストック」を開始(同社は「国内初の本格的インターネット取引」と表記)。ネット証券の時代が始まった。
出典: 松井証券 公式「沿革」 - 1999-10
株式売買委託手数料が完全自由化された(取引所の受託契約準則による固定手数料制度の廃止)。ネット証券が価格競争で台頭する土台となった。
出典: 日本取引所グループ 用語集「委託手数料」 - 1999
大沢証券がイー・トレード証券(現・SBI 証券)へ商号変更しインターネット取引を開始。同年、大和證券が日本の上場会社で初めて純粋持株会社へ移行した。
出典: SBI 証券 公式「会社概要(沿革)」/大和証券グループ本社「あゆみ」 - 2008-10
野村がリーマン・ブラザーズのアジア・パシフィックおよび欧州・中東地域部門の雇用等を承継(同社のインドの IT サービス関連会社は買収)。破綻した米投資銀行の人材を一気に取り込んだ。
出典: 野村ホールディングス 公式「沿革」 - 2023-09
SBI 証券が「ゼロ革命」として、2023 年 9 月 30 日発注分からオンラインの国内株式売買手数料を恒久的に無料化(楽天証券も 10 月 1 日から「ゼロコース」を開始)。証券会社が「手数料で稼ぐ」モデルを自ら手放した。
出典: SBI 証券 プレスリリース(2023-08-31) - 2024-01
新しい NISA 制度が開始。年間投資枠は最大 360 万円、非課税保有限度額 1,800 万円、非課税保有期間は無期限となり制度が恒久化された。個人の投資マネー流入が証券各社の追い風に。
出典: 金融庁 NISA 特設サイト - 2024-02
日経平均株価がバブル期の最高値を更新した。
出典: 内閣府『令和6年度 年次経済財政報告』第1章第1節
よくある質問
証券業界の主な上場企業はどこですか?
証券業界の主な上場企業には、野村ホールディングス株式会社、SBIホールディングス株式会社、株式会社大和証券グループ本社があります(日本国内の上場企業ベース)。