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半導体

PC とは対照的 —— 日本は“上流”(製造装置・材料)で世界の主戦場を握る

半導体の価値連鎖は「設計 → 製造装置 → 材料 → 製造(ファウンドリ)→ メモリ/ロジック」に分かれる。 日本勢は製造装置と材料で世界トップシェアを握る一方、先端ロジックやファウンドリ、メモリの最前線では 海外勢(TSMC・サムスン・インテル・エヌビディア等)に主役を譲った。下表は日本の上場勢を 「半導体が主力(装置・材料・デバイス専業)」と「半導体を一事業に持つ総合勢」に分けて並べる。 数値は各社の“全社連結”で半導体単独ではない点に注意(ただし専業各社はほぼ全社が半導体)。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年6月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

東京エレクトロン株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

コータ/デベロッパ、エッチング装置、成膜装置など前工程の主要装置を手がける世界大手。 単一セグメント開示のため事業別内訳は出ない=全社が半導体製造装置。

キオクシアホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

NAND 型フラッシュメモリの世界大手(旧・東芝メモリ)。2024 年 12 月に東証へ新規上場。 単一セグメント開示=全社がメモリ。

ルネサスエレクトロニクス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益減価償却構成比
産業・インフラ・IoT主戦場6718億円1694億円335億円51.2%
自動車(車載)主戦場6397億円1966億円436億円48.8%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

車載(オートモーティブ)と産業・インフラ・IoT 向けの MCU/アナログ半導体で世界大手。 12 月決算のため表は 2025 年 12 月期の全社連結。当期はのれん等の減損で最終赤字。

株式会社アドバンテスト主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却セグメント間取引構成比
半導体テスタ(テストシステム)主戦場1.02兆円5188億円—192億円1000万円90.3%
サービス・サポート他1092億円88億円65億円56億円—9.7%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

半導体を検査するテスタ(テストシステム)で世界首位級。AI 向け SoC/HBM 需要で伸長。 テストシステム事業が売上の大半を占める。

株式会社SCREENホールディングス主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

ウェハ洗浄装置(枚葉式)で世界首位級。当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

ローム株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却構成比
集積回路(IC)主戦場2184億円245億円1694億円84億円196億円48.0%
ディスクリート半導体(パワー等)主戦場2053億円-227億円2252億円691億円333億円45.1%
モジュール主戦場316億円35億円137億円8億円18億円6.9%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

パワー半導体(SiC 含む)を中心にディスクリート・IC・モジュールを手がける半導体専業。 全セグメントが半導体。SiC 投資先行で当期のディスクリートは営業赤字。

株式会社ディスコ主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

半導体ウェハを切る・削る・磨く「精密加工装置」で世界寡占。単一セグメント開示。

株式会社SUMCO主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

半導体の土台となるシリコンウェハの世界大手(信越化学と二強)。ウェハ専業のため全社が半導体材料。 12 月決算・単一セグメント。ウェハ市況の調整で当期は営業利益が大きく縮小。

レーザーテック株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

EUV(極端紫外線)フォトマスクの欠陥検査装置で独占的な地位を持つ。単一セグメント開示。 6 月決算のため、表の数値は 2025 年 6 月期の全社連結。

株式会社ソシオネクスト主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

自社工場を持たないファブレスで、顧客向けカスタム SoC を設計する。製造は外部ファウンドリに委託。 単一セグメント開示。

株式会社東京精密主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

半導体前工程の測定(プローバ等)と後工程の加工装置を手がける。単一セグメント開示。

ソニーグループ株式会社非主戦場

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却セグメント間取引構成比
Game And Network Services4.57兆円4633億円—1475億円1156億円36.9%
Entertainment Technology And Services2.18兆円1586億円—1031億円757億円17.6%
Music2.09兆円4470億円1954億円1309億円296億円16.9%
イメージング&センシング(CMOSイメージセンサ)主戦場2.06兆円3573億円—2651億円925億円16.6%
Pictures1.49兆円1049億円444億円5178億円130億円12.0%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

CMOS イメージセンサで世界首位。ただしゲーム・音楽・映画・金融等を含む総合企業で、 半導体(I&SS)は複数事業の一つ。

三菱電機株式会社非主戦場

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却セグメント間取引構成比
Life2.29兆円1706億円672億円894億円317億円39.9%
Industry And Mobility1.65兆円1311億円400億円632億円190億円28.8%
Infrastructure1.45兆円1547億円608億円344億円120億円25.3%
半導体・デバイス主戦場2589億円475億円1051億円256億円282億円4.5%
Digital Innovation853億円120億円50億円78億円728億円1.5%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

パワー半導体の大手。ただし全社は FA・空調・重電インフラ等を含む総合電機で、 半導体・デバイスはその一事業。

信越化学工業株式会社非主戦場

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

半導体シリコン(ウェハ)で世界首位。ただし全社は塩ビ・シリコーン等を含む総合化学で、 半導体材料はその一部門。当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

京セラ株式会社非主戦場

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却セグメント間取引構成比
ソリューション1.04兆円1039億円1.20兆円240億円544億円265億円50.7%
コアコンポーネント6526億円631億円7643億円788億円477億円8億円31.7%
電子部品3626億円73億円6998億円269億円335億円8億円17.6%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

半導体パッケージ・電子部品を手がけるが、全社はファインセラミック・機器・通信等を含む総合部品。 半導体は単独セグメントとしては開示されない。

イビデン株式会社非主戦場

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

半導体パッケージ基板(FC-BGA)で世界トップ級。ただし全社はプリント配線板・セラミック等を含み、 当該期の収録データにはセグメント別売上・利益が未収載。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 半導体製造装置メーカー 世界売上(上流=日本の主戦場)

前工程の主要装置を手がける世界大手5社。日本は東京エレクトロン1社が上位に食い込む。 露光(EUV)は ASML の独占領域で日本勢は不在。

#プレイヤー全社売上(直近通期)決算期・補足
1ASML(蘭)
€28.3 B
2024/12期
2Applied Materials(米)
$27.18 B
2024/10期(半導体部門 $19.9B)
3東京エレクトロン日本
¥2兆4,316億
2025/3期
4Lam Research(米)
$14.9 B
2024/6期
5KLA(米)
$9.81 B
2024/6期
各社の「全社純売上高」。決算期・通貨が各社で異なり単純比較はできない(USD 統一換算は非公式の概算)。 並び順は概算 USD 換算の目安。AMAT・KLA・東京エレクトロンは装置以外(サービス等)も含む。 出典: 各社公式決算(IR/SEC 提出)

② ファウンドリ(受託製造)世界シェア(下流=日本は不在)

設計された半導体を受託製造する専業ファウンドリ。先端ロジックは台湾 TSMC がほぼ独占し、 上位に日本企業は入らない(ラピダスは量産前)。

#プレイヤー世界シェア(4Q24)四半期売上
1TSMC(台)
67%
$26.85 B
2Samsung Foundry(韓)
8.1%
$3.26 B
3SMIC(中)
5.5%
$2.2 B
4UMC(台)
—
$1.87 B
5GlobalFoundries(米)
—
$1.83 B
調査会社 TrendForce の推計(公開プレスリリースの実数)。単一四半期のスナップショットで順位は入れ替わる。 上位10社に日本企業はゼロ。TSMC の 4Q24 売上は同社公式でも US$26.88B と裏取り済み。 出典: TrendForce(2024年 第4四半期・2025-03-10 発表)

③ NAND 型フラッシュメモリ 世界シェア(下流=日本はキオクシアのみ)

メモリのうち NAND では、日本のキオクシアが世界3位で唯一の一角を占める。 もう一方の DRAM は韓国2社+米マイクロンで約98%を占め、日本勢はいない。

#プレイヤー世界シェア(4Q24)四半期売上
1Samsung(韓)
33.9%
$5.6 B
2SK Group(SK hynix+Solidigm)(韓)
20.5%
$3.39 B
3キオクシア(日)日本
16.1%
$2.66 B
4Micron(米)
13.8%
$2.28 B
5Western Digital/SanDisk(米)
11.4%
$1.88 B
調査会社 TrendForce の推計(公開プレスリリースの実数)。単一四半期のスナップショット。 DRAM(別統計)は Samsung・SK hynix・Micron で約98%を占め日本勢は不在。 シリコンウェハ(材料)は信越化学が世界首位・SUMCO が世界2位だが、各社は具体的シェア%を公表していない。 出典: TrendForce(2024年 第4四半期・2025-03-03 発表)

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1980年代後半

    日本が世界の半導体シェアで首位に立った時期。DRAM を中心に日本メーカーが市場を席巻した (具体的なシェア%は読める一次原文を確認できなかったため、本ページでは数値を伏せる)。

  2. 1999-12

    NEC と日立製作所が DRAM 事業を統合し「NEC 日立メモリ」を設立(後のエルピーダメモリ)。

    出典: 日立製作所 ニュースリリース(1999-12-27)
  3. 2003

    日立製作所と三菱電機が半導体(システム LSI)事業を統合し「ルネサス テクノロジ」を設立(日立55%・三菱45%)。

    出典: 日立製作所 ニュースリリース(2002-10-03)
  4. 2010-04

    NEC エレクトロニクスとルネサステクノロジが合併し、ルネサスエレクトロニクス(東証 6723)が発足。

    出典: Renesas 公式ニュースルーム(2010-04-01)
  5. 2012-02

    エルピーダメモリが会社更生手続の開始を東京地裁に申請(日本の DRAM 専業の経営破綻)。

    出典: Micron Form 10-K(SEC, FY2013)
  6. 2013-07

    米マイクロンがエルピーダの全株式を 6.15 億ドルで取得し買収を完了。日本の DRAM は海外勢の手に。

    出典: Micron Form 10-K(SEC, FY2013)
  7. 2017-01

    東芝がメモリ事業の分社化方針を決定(後の東芝メモリ → キオクシア)。

    出典: 東芝 開示(2017-01-27)
  8. 2018-06

    東芝がメモリ子会社を Bain Capital 主導の連合(K.K. Pangea)へ売却完了。東芝は約40.2%を再出資。

    出典: 東芝 開示(2018-06-01)
  9. 2022-08

    先端ロジック(2nm)の国産化を目指すラピダスを設立。日本のファウンドリ再挑戦。

    出典: Rapidus 公式(会社概要)
  10. 2024-02

    TSMC の子会社 JASM が熊本第1工場を開所(量産開始は 2024 年末を予定)。

    出典: TSMC 公式プレスリリース(2024-02-24)
  11. 2024-12

    キオクシアホールディングスが東証プライム市場へ新規上場(証券コード 285A)。

    出典: キオクシア 公式(上場承認, 2024-11-22)

よくある質問

半導体業界の主な上場企業はどこですか?

半導体業界の主な上場企業には、東京エレクトロン株式会社、キオクシアホールディングス株式会社、ルネサスエレクトロニクス株式会社、株式会社アドバンテスト、株式会社SCREENホールディングス、ローム株式会社、株式会社ディスコ、株式会社SUMCO、レーザーテック株式会社、株式会社ソシオネクスト、株式会社東京精密があります(日本国内の上場企業ベース)。

半導体業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 半導体製造装置メーカー 世界売上(上流=日本の主戦場)によると、ASML(蘭)(€28.3 B)、Applied Materials(米)($27.18 B)、東京エレクトロン(¥2兆4,316億)、Lam Research(米)($14.9 B)、KLA(米)($9.81 B)が挙げられます。